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小林よしのり
2014.3.10 00:01

村山談話・河野談話に未来はあるか?第27回


村山談話・河野談話に未来はあるか?

27回 一度した「謝罪と反省」は取り消せない

 

1992年(平成41月、訪韓した宮沢喜一首相(当時)は

慰安婦問題に抗議するデモ隊の大歓迎を受け、

わけのわからないままに首脳会談で8回も謝罪と反省を

繰り返し、「真相究明」を約束して帰国した。

そもそも謝罪と反省を公言してから真相究明の調査をする

というのが完全におかしい。

宮沢は、真相もわからないのに謝罪と反省を表明したのだ。

国益を背負った一国の首相ならば、どんなに相手が激昂して

いようと、真相がわからない以上は「調査結果が出るまで

留保する」で押し通さなければならなかったのに。

 

宮沢はその翌年、テレビ番組で田原総一朗に

「政治改革、やるんですか、やらないんですか!?」と

詰め寄られ、つい「やります!」と言ってしまい、

それができなかったために「ウソつき」呼ばわりされ、

内閣不信任案が可決され、自民党が38年間に及んだ

政権与党の座から転落するという事態を呼ぶ。

要するに宮沢喜一とは、ちょっと強く出られるとたちまち

飲まれて相手の意のままに動いてしまう、決して首相になど

してはいけない人物だったのだ。

 

ともかく日本政府は「真相究明」に乗り出した。

そしてありとあらゆる資料を集めて検証した結果、究明

された真相とは「強制連行はなかった」というものだった。

19927月、日本政府は第1次調査結果を発表、

加藤紘一官房長官は「強制連行したことを裏づける資料は

見つからなかった」「誠心誠意探して見つからなかった

ことは韓国政府も信じてくれると思う」と発言した。

 

しかし、もうすでに宮沢首相が「謝罪と反省」を表明している。

これは国際社会に対して日本政府が「強制連行」を

公式に認めたということを意味しており、そう簡単に

「調べたら違ったから、あの謝罪と反省はナシ!」

なんてことにできるわけがなかったのだ。

韓国政府もさすがにこの頃には強制連行がなかったことは

わかっていたが、だからといって、もうそれを認める

わけにはいかなかった。

そんなことをしたら国内から「弱腰外交」との猛烈な

突き上げを食らい、発足間もない金泳三政権が揺らぐ

恐れさえあったのだ。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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